かくして、ダウンロード板で受け入れられたそれは、ゲーム、音楽、映像コンテンツの違法な流出のみならず、児童ポルノやかの「キンタマウイルス」の被害による会社情報、個人情報の流出に貢献した。それ以外の(社会的に有益な)功績はなかったに等しい。かくして、分散型P2Pは「匿名化された違法なファイル交換ソフト」というレッテルを貼られ、忌み嫌われる存在に堕した。ウイルスの被害が広がるなかで、高木先生が撲滅に動いていたのは記憶にあたらしいところだ。
僕もWinnyには間接的にだが被害を受けた。Winnyそのものが邪悪だ、とは言わない。しかし、ツールとして不完全な問題を残したまま、違法な使い方が想定されるところに投げ込まれたこと自体は良くなかったのではないだろうか。
http://d.hatena.ne.jp/NOV1975/20130708/p1「不完全な問題を残したまま」なのは金子氏が逮捕されたからだし、キンタマウイルスの被害はそんなような曝露系ウイルスを作った犯人どもの悪意によるもんや。なんでもかんでも金子氏にくっつけて悪魔化するのは神格化と同じ行為の裏返しに過ぎんで。
じゃあ、なんで無罪になってからすぐ直さなかったのだ、とか指弾したつもりになっとー人も見かけたし、俺も確かにその辺りは気になってたこともあったが、ちょっと調べてみたら、それにはそれ相応の理由があると分かって俺は納得した。
明石:Winny2はようやく再開できるってことですか。
――ツッコミますねぇ!(笑)
明石:こういう関係ですから(笑)。
金子:いやー、弁護士さんに「多分、また開発するとヤバイから」と言われました。
明石:じゃあ、ちゃんと作戦を立てれば?
金子:ちょっとやっかいですね。一応「無罪」が出たから、Winnyの続編とかを作って公開するのは問題ないと思ったのですが、弁護 士さんの話を聞くと「(続編を作れば)悪用されているのがわかっている」状態で「(警察的に)改変し続けるのはいかがなものか」という感じらしいです。 「(違法ファイル交換をする連中がいて)やるとわかっているのだろ、お前!」って言われて、裁判沙汰になったくらいですから、弁護士から「わかってます ね? これ以上バージョンアップするとややこしいことになる可能性が高いですよ」と言われました。ということで、あんまり安易には開発できないです。
http://ascii.jp/elem/000/000/712/712158/
研究者としてのキャリアの7年間という時間を裁判に費やしてつぶされて(氏は裁判のさ間はコンピュータに触ることを許されなかった)、やっとの思いで再びソフトウェア研究者として歩み始めた人に、「プログラマの良心に従いWinny のバグを直せ」と、安全地帯からもう一度キャリアを棒に振るリスクを負えと言えるほどあたしゃ無邪気じゃないのう。